太陽の帝国、大鷲の群れに挑まんとす(ゲームジャーナル39号 真珠湾強襲リプレイpart:1)
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最終更新日:2024/01/18
分類してもしょうがないもん
初め半年や1年の間は随分暴れてご覧に入れる。
然しながら、2年3年となれば全く確信は持てぬ。~山本五十六
その日は日本、そして米国にとっても非常に長い一日だっただろう。
単冠湾を出港した複数の空母を含む機動艦隊は人知れず東に向かって舵を取っていた。
行先はハワイ真珠湾。アメリカの太平洋におけるアメリカの重要な海軍基地であった。
アジア方面における植民地獲得に出遅れた米国は中国における他国と同等の特権を得るべく、列強主要国(フランス、ドイツ、イギリス、イタリア、日本、ロシア)に対し、中国の主権の尊重と中国内の港湾の自由使用を求める門戸開放通牒を発した。
アメリカから経済危機に陥るほど借金をしていた各国が判断を保留あるいはそれに準じた国策を取った一方、日本は満州国建国などで中国の利権を独占しにかかった。
当時のアメリカは中国における貿易関係の拡大に幻想的なイメージを抱き続けており(と言ってもほとんどは経済的な裏付けはなかったらしいが)、中国市場への自由な参入を続けることに固執していた。、日本の中国利権と主権独占の動きはその思惑に逆行しており、衝突は避けられないものであった。
一方の日本はというと日露戦争、第一次大戦と列強との戦いに立て続けに勝利を重ねており、戦えば勝つという根拠のない自信をつけていた。
その根拠が、軍の統帥を外れて現地の部隊が政府の意向を無視して国を作ったり宣戦布告もないまま戦争を行ったりと散々な状態を生み出していた。
その「散々な状態」を後押ししたのは他でもない国民であったことは忘れてはならない。
今でこそ反政府的な最左翼メディアとして知られる朝日新聞もこの当時は主戦論を主張する軍部の御用新聞として君臨していた。
例えば満州建国についても中華民国に対する内政干渉であるという疑問は当時からあったが、彼らのような翼賛的なメディアがそうした声をかき消していき、米国の経済制裁に対しても厭戦気分を刺激することなくただ「アメリカ討つべし」の機運が高めていく一方であった。
話は戻って真珠湾に向かう艦隊の旗艦。
艦橋ではこの機動部隊を指揮する南雲忠一中将は腹心にその胸中を語っていた。
「エライことを引き受けてしまった、きっぱり断ればよかった、出るには出たがうまく行くかしら。」
腹心は南雲を励まし続けたが、本人は作戦への意義には懐疑的であり続けた。
開戦を避けるための日米交渉は今も続けられているという話であったが、大本営から届いた一報は
「新高山登レ一二〇八」
12月8日に攻撃を開始せよという命令だった。
南雲は出撃命令を下した。
一方、南シナ海においても航空機による奇襲攻撃によって南シナ海を航行していたプリンスオブウェールズが撃沈され、チャーチルもこのニュースに体調を崩すほどショックを受けることになる。
高雄から離陸した基地航空隊がマニラを空襲、その後マニラとレイテに同時強襲上陸を開始。この守備隊を撃滅。この狙いは資源地帯であるシンガポール、ボルネオの確保のための侵攻ルートの確立であった。
更にはトラック島の基地航空隊と守備部隊がラバウルに進出し、更なる支配領域拡大を目指す。
特に太平洋方面における巨大な港が存在するオーストラリア攻略作戦の成功は太平洋方面における防衛体制の盤石化の為には必須とされた。
一連の報告はすぐに連合艦隊司令の下に届けられた。主力艦を含む大艦隊をたった一回の攻撃で壊滅状態に陥れたのだ。
勝利に沸き立つ高官たち。そして国内も海軍と陸軍も快進撃を続けるニュースに国民も沸き立つ一方であった。
その中で長官山本五十六は一人素直に喜べない顔つきであった。
「真珠湾にはエンタープライズが居たはずだ。」
その言葉の意味を日本軍は1年後という早い段階で思い知ることになる。
次回、1942年春のターンに続く。
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