CTCシリーズF-16レビュー
公開日:
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最終更新日:2024/01/18
分類してもしょうがないもん
昨日に引き続き国際通信社のボードゲームF-16ファイティングファルコンをレビュー。
自分は戦闘機はジェットのほうが好きだから結構待ち望んでいた感があった。
値段も2000円前後と安価だが、発売が3年前なので店頭購入はかなり難しいかもしれない。
零戦のほうが後発らしいね。
冷戦時代の東側と西側の陣営に分かれてそれぞれの陣営が運用していた戦闘機ユニットをマップ上で戦わせるゲーム。
収録シナリオは一番古くてベトナム戦争、一番新しくてイラン・イラク戦争が収録されている。
その年代から察する通り、ミサイル万能論時代の第3世代から、その反省を生かした第4世代戦闘機を題材にしている。
その中に収録ユニットとしてF-86が混ざっているのが違和感抜群だが。
第4.5世代や第5世代機はない。よってステルスなどのルールもなく、
F/A-18やF-15Eといったマルチロール機も無い。
空戦途中のボード。いろんな情報でゴミゴミしていた零戦のボードと打って変わってこちらはかなり簡素。
登場ユニットは多くても一陣営4機なので最大8機がこのマップ上で飛び交うわけだ。
後ろを取った方が有利というドッグファイトの基本は押さえられている。
また、行動する順番は高度が低い順番なので高度が高い所にいれば相手がどのように動くのか見てから動けるのでこれまた有利という点も近代航空戦のキモをルール上に落とし込んでいる。
零戦同様に無傷、損傷の概念があるが、武器が命中したら基本的に即死なので損傷面を使うことはほぼない。
代わりに別のボードで飛行機が持つ情報を管理するシステム。
ここで扱うのは
・飛行機の姿勢
・飛行機の高度
・搭載武器(機関銃、熱源探知ミサイル、レーダー誘導ミサイル)の残弾
この5つが1ユニットが持つ情報となる。
速度の概念はなく、高度による運動性の変化は再現されていない。そこはルールの簡略化のためだろう。
解釈としては空戦中は基本的にアフターバーナー全開なのだろうね。
実際の第3世代以降の戦闘機のドッグファイトがどうかは知らんが。
攻撃方法は射程が正面3ヘックス分の機関銃、射程無限のミサイル2種類。
射程無限とはいえ、距離が離れているとそれだけ命中率が下がるのである程度距離を詰めないとならない為、
相手の射程外から一方的にミサイルで攻撃し続ける戦法はあまり有効でない。
武器の特性として、
・機関銃は距離による威力の減衰がないが、後ろをとれないと効果的にダメージを与えられない。
・熱源探知ミサイルは使い勝手は機関銃に近いが、必ず真後ろを取らないと攻撃できない。
・レーダー誘導ミサイルは全方向から攻撃でき、射程も4ヘックス以上なら無限だが、
発射から弾着まで1ターンのラグがあり、弾着まで敵をユニットの正面エリアに捉え続けなければならない。
このゲームにおける正面エリアは放射状に広がるので遠いほど捉え続けやすい。しかし、距離が遠くなるごとに命中率が悪くなっていき、逆に近すぎるとロックオンが出来ないという性質もあるので、接近戦には不向き。
とそれぞれ使い勝手が異なる。
また、高度が2~4以上離れていたら射程外とみなされるので高度を離し過ぎたら攻撃できなくなる。このあたりの調整も難しい。
このように飛行機の姿勢ごとに
・何マス直進しなければならないか
・何回向きを変えなければならないか
・何レベル高度を上昇させなければならないか
が決まっている。これを暗記するのはほぼ不可能なので2部コピーして対戦相手に渡しておくといいだろう。
姿勢を変化させられる範囲は1ターンに1回、上の姿勢表上において2マス分しか変化させられないので、
急旋回(両端)させると切り返しに時間がかかるなど運動性が悪いジェット機の特性を上手く表現している。
感想
全体的にゲームとしては零戦のほうが完成されていると感じた。
面白いところとしては
・機関銃と2種類の誘導方式のミサイルそれぞれに性質の違いがはっきりとしており、
それによる使い分けなどで戦術の幅が広い。ユニット数が少ないので敵に対して効果的な攻撃を行うために有利な位置がどこなのか、を考えなければならない為ユニットの少なさに反して考えることは多い。
どうかと思ったところとして大体は下記2つに集約できる。
・ゲーム展開が遅く、かったるい
ユニットがマップ上で小回りが利かない上に高度の高低差が大きい。
そのためか逃げ回るようなチキン戦術を行わなくても「敵の後ろを取った」、「敵を攻撃したもしくはされた」などのゲーム状況の推移に数ターン掛かり、ゲーム展開がもっさりしている。
最大で往復20ターンなのだが、そのうちの15ターンほどは位置取りに終始して攻撃が行われるのは5ターン程度である。
展開が流動的ではなく、かなり退屈なゲームであるというのが率直な感想。
ゲームデザインとして「空域内で3次元的な戦いにおける位置取り」を意図的に重要視している感があるのでそういうゲームなのだと言えばその通りではあるが、少なくとも自分にとっては退屈以外の何物でもない。
・パワーバランスが恐ろしいほどに西側兵器に偏っていること。
ミサイルの命中率は西側のほうがよく、機体性能も基本西側有利。
東側最強のユニットはMig-23だが、武装搭載量の低い軽戦なので相手にできるのは同じ軽戦のF-16が限界で
機体性能も武装搭載量も優れたF-14、F-15クラスの主力戦闘機が出てきたら太刀打ちできない。
このような場合はユニット数や武装量でゲームバランスを調整するのが基本だが、収録されているシナリオでは
東側MiG-23×4機 VS 西側F-15×2、F-16×2
で東側にレーダー誘導ミサイル無しという一方的なシナリオもある。
正直どうしろというレベルである。
東側でF-15クラスの主力級戦闘機といったらSu-27か、最悪MiG-29があるが、
両機とも実戦経験に非常に乏しい。
シナリオが湾岸戦争まで収録されていればMiG-29が出れたかもしれないだけに惜しい。
零戦はシナリオ収録外の時期に登場した戦闘機がオマケとして収録されていたのでそういったフォローが欲しかった。
実際東側機が西側機に対抗できたのはベトナム戦争あたりまでで、あとは西側に一方的に有利だったっていうのも本当の話ではあるが、ゲームとしてどうなのかという疑問は生まれる。
1ユニットが管理する情報が多いので簡単に最大ユニット数を増やし辛いという事情はあるだろうが、もうちょっとゲームとして作りこんでもらいたかったところ。
おまけ
空母艦載機用の1/700スケールの模型をコマとして使えないか試してみたが、こちらはちょっと厳しい。
このタミヤの模型は垂直尾翼が別パーツになっているので耐久性の面でも難が残る。
艦船模型にはさらに小スケールの1/1300スケールがあり、それに付属しているものならばもしかしたら行けるかもしれないが、
そこまでのスケールはマイナーなスケールだから探すのに苦労しそうだし、あっても滅茶苦茶高価というのは想像に難しくない。
大人しくセット付属のユニットを使った方が良いだろう。
こんなものを作ってみた。円卓の鬼神ユニット。
ユニット自体は普通のF-15で性能面の脚色もないが、こういう遊びができるのもボードゲームならではといえる。
AceCombatZEROのキャンペーンをこのボードゲーム上で遊んでみるのももしかしたら面白いかも。
ZEROは円卓の制空権を巡る空戦中心のゲームシナリオだったしね。
あ、フランカーレベルの飛行機がない。
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